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ディテール派
空間の神はディテールに宿ると信じており、商業建築なども多くこなす。彼ら「ディテール派」の事務所には原寸大のドアノブの模型がごろごろしていたり、自分のブランドの家具などが発売される日を心待ちにしている。建て主から無理難題を言いつけられても、涼しい顔をして「すかして」設計を進められるのは、彼ら「ディテール派」の建築家、その名の通り「ディテール=細部」のデザインにしか興味がなくその「ちっちゃな懐刀」でどんな住宅であろうがリフォームであろうが、自身の方法論で作品に導くノウハウを持っているからだ。
お金を掛けて力を入れるべきところと力を抜くところのバランスを心得ているので、写真写りもいいし、空間的に無理がないので結構建て主からの満足感は得られやすい。しかし発想が「インテリアデザイナー」的なところがあるのは否めず、ここで考察している骨太の「建築家住宅」としての作品性からは少し外れることもありうる。
内装だけのリフォームは当然「建築家住宅」ではないし、それと同等の方法論で設計された住宅もまた「建築家住宅」としては疑わしい。昨今「デザイナーズマンション」という言葉が立派にインチキ臭さを獲得できているからこそ、むしろはっきりと線の細い「デザイナーズ住宅」くらいの言葉をあてはめても良いのではないだろうか。もしくは集合住宅の販売・賃貸レベルの世界で「デザイナーズマンション風」とか「デザイナーズマンション仕様」などという言葉がまかりとおており、「建築家住宅風」とか「建築家住宅仕様」という意味不明な言葉も生まれかねない、われわれは今後そのような言葉に驚かず、翻弄されずにいる心の準備が必要である。
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