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20195/13

「建築家住宅」はなぜかっこいいのか?(後編)

突如としてニッポンに黒船状態でやってきたモダニズムという思想が、100年たった今でも「建築家住宅」において影響力を持ち続けているのはもう一つの訳がある。寝殿造、書院造、数寄屋、茶室、民家などの日本の伝統的な住宅の系譜を覗いてみれば、モダニズムの建築が提唱した「モデュロール」「幾何学的構成」「機能主義」「非装飾主義」「水平線の強調」「自由な仕切り=可変的空間」「内と外の中間領域」などの方法論が日本人がそもそも固有に保持していたことがわかる。

日本人は明治維新当初あまりにも近代化を急いだのでうっかりそのことを忘れていたが、西洋から招聘する建築家たちがこぞって日本建築のなかにモダニズムの美学を見出したりしていたので、浮世絵などと同じく逆輸入的に日本建築のなかの美を再発見させられることになった。

それでも、第二次世界大戦後、今度はモダニズムよりも影響力の大きい「アメリカNo1!」というコカコーラ文化にやられてしまったのでまたまた日本建築の美学はどこかへ追いやられてしまったのである。そうして畳の部屋はダサイので全部ジュウタンを敷いたり、フローリング願望やシステムキッチン願望やLDK願望が芽生えたのだ。

しかし時代は一巡りした。現在の「建築家住宅」の担い手である若き建築家たちは1950年代から1970年代にかけて生まれコカコーラ文化のなかで育っており、西洋文化に対するコンプレックスはまったくない。彼らは次世代の日本の住宅とは?なにか?ということを真剣に模索しており、その際違和感なく日本人がそもそも固有に保持していた方法論とモダニズムの理論を併置させた「建築家住宅」を提案することができるのだ。

モダニズムは文化的な領域を越えて普遍的な空間・時間が存在すると信じたが、現在われわれは異なる文化圏には異なる空間・時間が存在すると考え始めることができており、日本においてはその伝統文化とモダニズムの理論を併置させた固有の建築文化を築こうとしている。

表層的なカッコよさをもち、コンビニ店頭に並ぶことも辞さない「建築家住宅」にも実はそんな重大な可能性が秘められているのだ。もちろん中には本当に「表層的な建築家」もいるのでその人たちを見分けるためにも打ち合わせの後に「モダニズムと日本文化についてのお考えを聞かせてください」と目を輝かせて言ってみることが重要だ。そこでお茶を濁したりするような建築家は間違いなく「ニセモノ」だと考えて良いだろう。高気密・高断熱の話や自然素材、シックハウスの話などはハウスメーカーの営業マンでもできることであり、そもそも建築家が「~家」という称号を自称なり他称なり冠するかぎりはそのようなお話を延々と出来ることが重要なのである。

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